【AtlasRemote 導入事例】日清紡マイクロデバイス | 半導体3工場の“海外↔国内”技術指導をスマートグラスで実現

海外工場のエンジニアがスマートグラスを装着する。その視界が、そのまま海を越えて国内のモニターに映る──日清紡マイクロデバイスのテスト技術部では、半導体製造を手掛ける国内・海外の3工場をこの形でつなぎ、テスト工程の情報共有や現地スタッフの教育、試作品の確認を遠隔で行っています。電話の音声だけでは伝わらなかった海外現地の状況は、AtlasRemoteの“見える共有”で何が変わったのか。月1~2名が海を渡っていた技指導の形とあわせて、ご担当者に伺いました。

| 導入企業 | 日清紡マイクロデバイス株式会社 |
| 導入部門 | テスト技術部 |
| 利用拠点 | 半導体製造を手掛ける国内・海外の3工場 |
| 用途 | テスト工程での情報共有 技術指導・教育 試作品の確認 |
| 導入製品 | 遠隔支援システム「Atlas Remote」 |
日清紡マイクロデバイスについて
日清紡マイクロデバイスは、新日本無線とリコー電子デバイスの統合により2022年に発足したアナログ半導体メーカーです。オペアンプや電源ICなどの電子デバイス製品と、衛星通信やレーダーに使われるマイクロ波製品を手掛け、エレクトロニクス、ブレーキ、精密機器、化学品、繊維を事業とする日清紡グループの一員として、アナログソリューションプロバイダーを掲げています。
半導体は、回路をつくる前工程と、組立・検査を行う後工程を経て製品になります。出荷前にその品質を電気的に確かめるのがテスト工程であり、テスト技術部はその技術を支える部門です。生産拠点は国内・海外にまたがり、テストの現場も3つの工場に分かれています。
日清紡マイクロデバイスが抱えていた課題
電話の「音声だけ」では、海外のテスト現場に的確な指示が届かなかった
半導体の量産が海外工場へ広がる一方で、テストの技術やノウハウは国内に蓄積されています。この距離を、これまでは人の移動と電話がつないでいました。ご担当者は導入前の状況をこう振り返ります。
「海外での工場展開を行う傍ら、物理的な移動時間・工数・費用面での負担と、海外の現地スタッフとの情報共有が異言語の壁や電話など音声のみのコミュニケーションに留まっていたため、的確な作業指示や情報共有が取りづらいことが問題視されていました」
テスト工程のやり取りは、言葉だけでは成立しにくいものです。装置のどの箇所か、治具がどう据わっているか、波形の何が気になるか──現物を前にすれば一言で済む確認が、電話では説明の往復になります。異言語の相手であれば、なおさらです。
しかもテストの現場は、両手がふさがる仕事です。仮に手元の端末で映像を送ろうとしても、装置の操作と治具の調整に両手を使う現場では、カメラを構え続けることができません。結局、技術指導や試作品の確認のたびに、月1~2名が国内から海外工場へ出張する。その移動時間・工数・費用が、恒常的な負担になっていました。
AtlasRemoteが日清紡マイクロデバイスの課題をどのように解決したか

海外工場のスタッフはスマートグラスを装着

日本にいながら遠隔技術指導
現場の“視界”を、スマートグラスがそのまま国内へ届ける
AtlasRemoteの現場側の主役は、スマートグラスです。海外工場の作業者が装着すると、その目線の映像と音声が、リアルタイムで国内に届きます。国内の技術者は、作業者が「いま見ているもの」をそのまま見ながら、音声で指示を返す。「装置のどの箇所か」を言葉で説明し合う必要はありません──同じ視界そのものが、説明の代わりになるからです。異言語の現場ほど、この効果は大きく働きます。訳語を探して言葉を重ねるより、同じ映像を前に置く方が速く、正確です。
スマートグラスであることの意味は、もうひとつあります。両手が空くことです。装置の操作にも治具の調整にも両手を使うテスト工程で、作業者は仕事の手を止めずに視界を送り続けられる。「映す係」を別に立てる必要のない一人称の映像だからこそ、波形や治具の細部まで、確認がその場で成立します。
活用はテスト工程の情報共有にとどまりません。現地スタッフの教育では、国内の技術者が映像越しに手順や着眼点を伝える。試作品の確認では、現地にある実物をその場で確かめる。これまで「出張して行うもの」だった仕事の一部が、日常の業務時間の中でこなせる形に変わりました。
AtlasRemoteが日清紡マイクロデバイスにもたらした変化
作業効率と生産性が上がり、海外出張の回数を減らせた
導入の効果を、ご担当者はこう語っています。
「遠隔支援機器を使うことで、海外現地の生産工場内とテスト工程で情報共有や教育等に活用できるため、作業効率と生産性が向上しました」
そしてもうひとつの変化が、移動そのものの削減です。
「国内から海外工場へ月に1~2名が技術指導や試作品の確認などで現地へ出張しているのですが、その回数を減らすことができ、移動交通費と時間の消費も軽減することが出来ています」
月に1~2名という定常的な出張は、渡航費だけの問題ではありません。出張する技術者は、その間、国内の業務から抜けることになります。回数が減った分だけ、限られた技術者の時間が国内のテスト技術業務に戻る──3工場にまたがる体制にとって、この積み重ねは小さくありません。
今後の展望
3工場で回り始めた形を、教育と立ち上げの標準に
国内・海外の3工場をつなぐ運用は、すでに日々の業務の中で回っています。映像を挟んだ情報共有と教育の形が定着していけば、新しい製品や工程の立ち上げ、現地スタッフの育成といった、これまで出張が前提だった場面の選択肢はさらに広がります。
半導体の品質を最後に守るのはテスト工程であり、それを支えるのは技術者の知見です。その知見が、飛行機の便数に縛られず、スマートグラスの視界を通じて現場へ届く──3工場の間で動き始めたこの形は、テストの技術を組織の力に変えていく土台になっています。

