設備点検を遠隔で行う方法。カメラ・センサー・ドローン・スマートグラスの向き不向きと、JR九州様はどれを選んだか

設備点検を遠隔で行う方法

設備点検を遠隔で行うことは、遠隔点検やリモート点検とも呼ばれますが、聞いて思い浮かべるものは人によってずいぶん違いますよね。カメラをつけて事務所から眺めることだと思う人もいれば、ドローンを飛ばすことだと思う人もいるし、センサーの数字を毎朝スマホで見ることだと思う人もいます。

昼も夜も鉄道の電力設備を守っている九州旅客鉄道株式会社(JR九州)様が選んだのは、そのうちの「人は行く、でも確認する人は行かない」という形でした。

遠隔点検の方法は、ひとつではない

設備の遠隔点検は、おおまかに5種類に分かれます。違いは「現地に人が要るか」と「何を見ているか」です。

方法現地に人は分かること分からないこと代表的なサービス・製品(例)
固定カメラ要らない決まった場所の様子。動き・侵入・変化の検知カメラの向きの外。細部。触って確かめることSafie
センサー要らない温度・振動・電流の数値の変化。異常の兆し数値に出ない傷み。なぜ異常かの判断設備メーカー純正の状態監視
ドローン操縦者が要る高所・広い範囲の外観内部。狭い場所。触診Skydio
点検ロボット操作者が要る配管の内側や危険な区域の様子設備ごとの作り込みが要るSpot(Boston Dynamics)
スマートグラス・スマホの遠隔支援作業者が行く作業者の目線や手元の映像と声。離れた人が判断・指示・記録人が行けない場所Atlas Remote、Atlas Remote スマホプラン

表を見て気づくと思いますが、上の4つは「人を現地に行かせない」遠隔点検で、いちばん下だけが「人は行くが、判断する人は行かない」方法です。

遠隔支援の行は、今あるスマートフォンにアプリを入れて本部のPCとつなぐ型(Atlas Remote スマホプラン)と、スマートグラスで両手を空ける型(Atlas Remote)に分かれます。スマートフォンで始めて、両手を使う現場が出てきたら同じ Atlas Remote のままスマートグラスを足せます。スマホプランの料金は料金表(PDF)で公開しています。「遠隔支援」「遠隔監視」「遠隔臨場」の言葉の違いは、「遠隔〇〇の違い」にまとめてあります。

ネジを増し締めする、端子を外して測る、音を聞く、においを確かめる。こういう作業は、いまのところ人の手が要りますよね。そして人が行く点検には、たいてい「確認する人」がもう一人付いてきます。工事なら監督、点検なら上長や発注者。この確認する人の移動が、点検の人繰りをいちばん縛っているんです。

JR九州様が選んだのは、「確認する人が行かない」形

JR九州様の工務部 小倉電力区では、輪番体制(交代制)で、日中帯と夜間の電力設備管理、メンテナンス、施工監視、安全パトロール点検にあたっています。以前は、確認や立会いのたびに担当者が現地へ向かうのが前提でした。

いまは、作業者がヘルメットに装着したスマートグラスで現場を映し、確認者は離れた場所でその映像を見ています。確認者が現地に行かない確認・監視立会いが、日常の業務になっています。

ご担当者様

昼夜問わず、輪番体制(交代制)にて業務を行っており、確認者が現地に行くことなく確認・監視立会いが可能である。

もうひとつ、JR九州様の使い方で面白いのが、トラブルのときなんです。一報が入ったとき、担当者が事務所にいるとは限りません。そういうときは、手元のスマートフォンなど別の端末から現場の映像につないで、そのままフォローに入ります。「誰かが現地に着くまで動けない」時間が短くなり、緊急時の早期復旧に選択肢がひとつ増えました。

確認者は、手元のPCで何をしているのか

JR九州様が使っている遠隔支援システムが Atlas Remote です。確認者の側に要るのはPCのブラウザだけで、アプリを入れる必要はありません。届いた映像に対して、確認者ができることは4つあります。

指す
PCの画面で映像にマウスを合わせると、作業者のグラスの中の同じ場所にポインタが出ます。「右から2番目の端子」「その奥のやつ」を言葉で言い合う時間が消えますよ。
残す
確認した箇所をPCから静止画に撮り、マーカーで印を付けて作業者に送り返せます。映像の録画もPCから始められて、ファイルは確認者のPCに残ります。点検の証跡として、そのまま報告書に添えられます。
見せる
現場に無い図面や手順書は、PCの画面を共有して作業者の目の前に映せます。映像として送るので、ファイルそのものは作業者の端末に残りません。
伝える
機械の音で声が通らない場所では、PCから文字を送り、作業者は登録してある定型文で返します。型番のような、聞き間違えると困る情報は文字のほうが確かです。

作業者は映像を送るだけでよく、記録の手間を持ちません。

情報

複数の人が同時に見たいときは、遠隔会議のオプションで最大5人までつなげます(確認者4人と作業者1人でも、その逆でも)。

注意

ひとつだけ釘を刺しておきます。電波です。変電所の裏や山間部では、電波が弱い場所がよくありますよね。Atlas Remote は電波が弱くなると映像の品質を自動で下げて接続を保ちますが、弱いと分かっている現場では上限を先に下げ、通信キャリアも一社に頼らないでください。現場での工夫は「遠隔臨場をスマートグラスでやってみてわかったこと」にあります。

1週間、自社の設備で試してみる

遠隔の立会いがうまくいくかは、仕組みの良し悪しより、自社の現場の電波で映像がどこまで見えるか、作業者がグラスをかけたまま作業できるか、で決まるんです。JR九州様の小倉電力区も、作業者がヘルメットに装着して使う形を現場で確かめたうえで、日常の業務にしています。

Atlas Remote には、法人のお客様向けに、スマートグラスを1週間無料で試せるトライアルがあります。市販のスマートグラス1台と利用ライセンス(本部のPC用と現場の端末用)をお届けし、はじめての接続はオンラインでお手伝いします。設備点検の予定がある週に合わせて、お気軽にお申し込みください。鉄道以外の設備で使っている例は導入事例の一覧にあります。