スマートグラスで視界を確保しながら安全に使う【2026年版】視界・バッテリー・ズームの注意点と対策

スマートグラスは、目の前の光景に映像や図面、離れた場所からの指示を重ねて見せられます。その映像が、作業中は邪魔になることがあります。特に両眼タイプは映像が大きく映るので、「きれいに見えるのはよいが、作業中ずっと出ている必要はない」という声を、使い始めたお客様からよく聞きます。
この記事では、作業者の視界を確保して安全に使うための設定と、電池・ズーム・装着の注意点を書きます。安全を何より重視する鉄道の電力設備で、ヘルメットに装着したスマートグラスを昼夜使っている九州旅客鉄道株式会社(JR九州)様の現場も紹介します。
「安全を重視する業務であるがゆえに」JR九州様の電力設備の現場
JR九州様の工務部 小倉電力区では、輪番体制(交代制)で日中帯と夜間の電力設備管理、メンテナンス、施工監視、安全パトロール点検にあたっています。作業者はヘルメットにスマートグラスを装着し、確認者は離れた場所でその映像を見て、現地に行かずに確認・監視立会いをしています。トラブルの一報が入ったときは、担当者が事務所にいなくても、手元のスマートフォンなど別の端末から現場の映像につないでフォローに入ります。
列車の運行と隣り合わせの現場で、作業者の視界に映像を重ねる道具を使うには、映像が邪魔にならないことが前提になります。ご担当者は「安全を重視する業務であるがゆえに、本サービスの指向性は高いと感じている」と話しています。
使っている人の声
遠隔支援でスマートグラスを使っている作業者の方から、こういう声をもらっています。

- ハンズフリーの状態のため、作業が行える。
- 設計図が目の前にあるため、確認しやすい。
- 実際の光景にポインタを重ねて遠隔指示を受けることでわかりやすい。
- 先輩の顔を見ながら作業することで安心感がある。
- 映像が邪魔になることがある・・・
最後の声が、この記事の主題です。映像が役に立つ場面と邪魔になる場面は、同じ作業の中で入れ替わります。手順を聞くときは映像が欲しく、手を動かしている間は視界を空けておきたい。Atlas Remote の設定は、この切り替えを作業者の手を止めずにできるように作っています。
映像が邪魔なときの設定
見る側のPCから、映像を消したり出したりする
映像の表示と非表示は、指示を出す側のPCから切り替えられます。作業者がグラスを触らなくても、指示者が「ここは映像で見せたほうがよい」と判断したときだけ映像を出し、作業中は消しておけます。作業者はその間も、グラスのカメラの映像と声で支援を受けています。
グラスを触ってよい場面なら、作業者側からも切り替えられます。エプソンの MOVERIO では、こめかみの部分を軽くタップするか、電源ボタンを軽く押すことで表示と非表示が切り替わります。
映像の位置と大きさを、作業者ごとに変える
グラスのアプリで、映像の表示位置を左上や右下などの四隅に寄せ、大きさを数段階で変えられます。視界の中心を空けておき、必要なときだけ目を向ける使い方ができます。画面のレイアウトも、映像だけを全面に出すフルスクリーンと、相手と自分のカメラ映像を同時に見る分割から選べます。
位置の決め方は、MOVERIO の開発者の方の話が参考になります。人の目は上下の動きなら疲れにくいので、映像を正面ではなく少し上に置き、上目づかいのときだけ見えるようにすると、手元の作業と映像の確認を両立しやすくなります。
どの設定も、作業者が集中して安全に作業できることを優先して作っています。機能の一覧は遠隔支援機能のご紹介にあります。

画面が邪魔にならない機種を選ぶ
設定で足りないときは、機種で解決する方法もあります。メガネの端に着脱できるタイプや、ディスプレイの部分を動かせるタイプなら、映像が要らない間は視界から外せます。単眼タイプは映像が小さく、視界への影響も小さい代わりに、図面を見ながらの作業には向きません。どちらが合うかは、作業者が映像をどれだけ見るかで決まります。
視界のほかに、よく聞かれること
電池はどれくらいもつか
連続して使える時間は、機種と使い方で変わります。長時間の作業では、対応する端末ならモバイルバッテリーから給電しながら使えます。想定している利用時間と現場に合わせて機器の構成を案内しているので、トライアルの前に使う時間を教えてください。
外付けカメラをつなぐと、カメラがグラスから給電されるので電池の減りが早くなります。
ズームはできるか
グラスのカメラがズームに対応していれば使えます。ズームの無い機種でも、対応する外付けカメラをつなげば細かい部分を確かめられますし、作業者が対象に近づいて映す方法もあります。外付けカメラの映像は作業者のグラスにも映り、カメラの切り替えは見る側のPCから操作できます(外付けカメラの使い方)。
装着と暑さ
ヘルメットの下にグラスを付けて長く使う現場では、夏の暑さで本体が熱を持ち、通信に影響が出ることがあります。コントローラをポーチに入れる、冷却シートを使う、といった現場の工夫は「遠隔臨場をスマートグラスでやってみてわかったこと」に書いています。移動中はグラスを外す、周りの人がフォローする、という運用も同じ記事にあります。JR九州様の小倉電力区のように、日中帯と夜間の両方で使う現場では、昼の暑さと夜の暗さの両方で見え方と装着を確かめておきます。
電波が弱い場所
電波が弱くなると、Atlas Remote は映像の品質を自動で下げて接続を保ち、電波が戻ると元に戻します。弱いと分かっている現場では、フレームレートや解像度の上限を先に下げておくと安定しやすくなります。
視界は、設定より先に作業者に聞く
映像の位置や大きさ、消すタイミングは、作業者ごとに合うものが違います。設定の前に、どの作業で映像が欲しくて、どの作業で邪魔かを作業者に聞いてください。JR九州様の小倉電力区でも、現地に行かない確認・監視立会いを日常の業務にするまでに、作業者がヘルメットに装着して使う形を現場で確かめています。Atlas Remote には、法人のお客様向けに、スマートグラスを1週間無料で試せるトライアルがあります。市販のスマートグラス1台と利用ライセンス(本部のPC用と現場の端末用)をお届けし、はじめての接続はオンラインでお手伝いします。実際の作業で、視界と映像の折り合いを確かめてください。


